LOVE
LETTER 突然バランスを崩されて 後手に床に手をつき尻餅をついた格好の隆一のヒザの中に体を滑り込ませ 舌を強引に捻じ込んで歯列を割り 奥に引っ込んでいた隆一の舌を強引に絡めとって夢中で吸い上げる 隆一は抵抗こそしないが 自分から応じようともしない 俺にされるがままだ たったそれだけの事で 俺はもう腰が重く痺れてきて股間が熱くなって ここまで来たら もう後で言い訳なんて絶対できない でももういい もうこうなったら好きにさせて貰う 最後まで絶対に引くもんか!! だって酷いじゃないか 6年も思っていた俺を差し置いて 他の男の思いを受け入れるなんて 「隆一ぃ…男で勃つんなら 相手は俺でもいいじゃんよぉ…」 すると隆一が 脚を動かして俺の股間を刺激してきて 思わず甘ったれた悲鳴があがる 「言いたい事は それだけか?」 「俺もう我慢できない…やろうよ ね? 好きにしていいよ だからしよ…ね?」 「いっつも こんなにだらしなく漏らすのか?随分簡単に火の点く体だったんだな」 相変わらず冷静な口調でポンポンと棘のある言葉を投げられ それなのに 俺のものはちっとも萎えていかないし それでも… それでも 俺はお前が好きなんだよ隆一 自分自身を愛するプライドが滲み出ているような 端正な顔立ちも 「…何とでも言えよ」 「何逆ギレして開き直ってるんだよ」 そう言うと 隆一は本当に手を引っ込めてしまった もう自分でも一体何をしているんだか解らなくなってきた でも… 俺が今ここを出ていったら 隆一は あの手紙の相手の所へ行ってしまう もう隆一が行かないでくれるのなら どうでもいい 何でもしてやる 「お お前が…んっ…言ったんだから な…ホモに 興味無いって…」 もう 涙と鼻水でグチャグチャだ 下半身からも別の水音が響いて つられて手の動きも早まる 「なぁーにが…俺の気持ちに気づいていると思う…だっ 俺の 事にも…気がつかなかった 涙がどんどん溢れてきて もう目の前の隆一の顔すらよく見えなくなってきた 「もう いい」 そう聞こえたと思った瞬間にに ぼやけていた視界の中の隆一の影が動いて 触れられた途端 すぐ逝ってしまいビクビク跳ねる俺の体を 隆一は痛いくらい強く抱きしめてくれて 俺が 泣きやんで落ち着いてくると 隆一が後始末を始めた 鼻をかんで 涙を拭いてぼやけた視界がハッキリしてくると 隆一を見ると 自分があんなみっともない姿を晒したのに普段と全く変わりないポーカーフェイスだ 思わず そこに視線が釘付けになり あからさまな視線に隆一も俺が見ているのに気がついた 俺が ちょっと照れてしまって 先に視線を反らすと 「雅之 ちょ…うわっ?!」 そこまでは 良かったのだが… ・・・ ・・・ 「雅之…お前 まさか」 30分後 俺は胡座をかいた隆一の上で 足が攣りそうな中腰になったまま 「は 初めてなのか?」 「何で 最初に言わないんだ… う つつっ」 俺が初めてなのなんて 当たり前じゃないか!! お前しか見てなかったのに 人の事何だと思ってたんだよ!! 「勢いよく突っ込むから てっきり慣れてるのかと…う ぐ」 愛があれば大丈夫だと思ったんだよ… 結局 隆一が少し萎えるのを待って 時間をかけて抜いてくれたお蔭で ・・・急に心の中が 空っぽになった気がした 「何だよ…もしかして行くのかよ」 引出しを開けて 隆一が大切そうにしまった手紙を引っ張り出した 俺の6年分の思いはどうなるんだよ 「りゅういちぃ…」 力が抜けて 床にへたり込んでわんわん泣いた
隆一が それをどう思ったのかは解らない
身動きもせずに ただじっと俺の顔を 相変わらず表情の無い瞳で見つめていた
もう これ以上感情を抑えておく事が出来なくて 俺は隆一の首に腕を回してしがみ付いた
両手で隆一の顔を挟んで 何か言おうとして開きかけた唇を塞いだ
ずっと触れてみたいと思っていた 隆一の肉付きの薄い唇は
見た目より柔らかく想像していたより遥かに暖かかった
唇を離すと唾液が細い糸のように後をひき それを全く表情のない瞳で見つめている
一人で興奮して 自分だけ欲情しているのが一瞬バカみたいに感じて
呆れているのではと不安になったが 耳に舌を突っ込むと さすがにちょっと感じたようで
一瞬 身を捩り ゆっくりと腰に腕を回してきた
ズボンのボタンが吹っ飛びそうな位 前が窮屈になっていた
ヘタすりゃ絶好されて 逢うのも今日が最後かもしれない…
そんなの絶対に嫌だ絶対に許さない あんまりだ
俺は必死になって 胡座をかいて座りなおした隆一の太腿の上に乗っかり
自分の股間を擦り付けハァハァと荒い息遣いで耳元で囁いた
息ひとつ乱れていない冷静な声が 胸を突き刺す
ちっともその気になって貰えてないと思うと 悲しくてたまらないが
拒絶さえているワケではないと思いなおして 自分を奮い立たせた
俺は太腿の上から降りて 胡座の中で膝立ちになってズボンを下着ごと下ろして下半身を晒した
見られていると思うと恥ずかしい反面 余計に興奮してダラダラと雫が零れて止まらない
隆一が まるで物珍しいモノでも観察しているかのように 人指し指だけで俺のものの形をなぞる
その刺激にバランスを失いそうになって 隆一の両肩に手をかけた
人差し指だけで先端を突付いてみたりしながら隆一が言葉を続ける
「さすがに俺もオマエがこんな節操無しだとは知らなかった 誰でもいいから男が欲しいのか」
張子のようにゆらゆらさせてみたりしながら言われて 羞恥で体が燃え上がるように熱くなった
「壊れた蛇口じゃあるまいし 何で何言ってもダラダラ止まらないかな」
遠回しに蔑まれているようで また目頭が熱くなってきて肩に置いた手に力が篭った
「こんな調子なら 一日何回下着取り替えてもキリないんじゃないのか」
その上 指1本だけで弄られ続けて気が狂いそうだった
もっとちゃんと触って貰いたくて みっともなく腰まで揺れてきて 浅ましい自分に涙が出た
常に冷静で 表情を崩すことなく 的を得ている辛辣な言葉を吐くところも
傲慢でエゴイストで けれどそれに見合うだけの全てを兼ね備えているところも 全部好きなんだ
泣きながらヤケになって言い放つと 隆一の指が止まった
「…」
「泣きながら勝手にココこんなにして 一体俺にどう思われたいんだよ」
「…」
「俺の言う事が気に入らないんなら もう何も言わない 黙って見ててやるから自分でやれば?」
「なっ?! ひ ひど…」
馬鹿馬鹿しい このままズボンを上げて飛び出してしまいたい
そう思っただけで また涙が溢れてきた それだけは絶対にイヤだ
鼻水をすすり涙を拭いながら 俺は床に尻をつきベッドに背を凭れ
膝で止まっているズボンを足から抜き取った
そして 膝を立てた状態で思いっきり股を開き 自分のモノに手を伸ばした
手の動きに合わせて腰が勝手に揺れる
隆一の蔑むような視線が痛いけど もう止める事ができない
「嫌悪感を抱くって言うから…俺は…な なのに何で おまえに 偏見があるみたいに…
言われ…っ な きゃ なんないんだよ お おれは ちゃんと覚えてるんだからな…」
お お前が そん なのっ…気づくわけ…んん」
酔ってもいないのに まるで酔っ払いの愚痴みたいだ
いや 俺はこの惨めでみっともなく痴態を晒す可哀想な自分ってやつに酔っているのかもしれない
そうだよ考えてみろよ 好きなヤツに冷たくされて それでも諦めきれずに こんな事して…
「ずっと お前を思っていたのは 俺だって同じなのに…お 俺の方が ず ずっと前から…ヒック…」
もう 泣きすぎて喉が詰まってきて これ以上声が出ない
目の前いっぱいに広がったと思ったら柔らかいものが唇を塞いだ
そして俺の股間に手を伸ばしてきて 今度はちゃんと触ってくれた
その腕の中で 俺は破裂したように大声で泣いて涙と鼻水で隆一のシャツが犠牲になった
さっきまでの 自分ばっかり泣いたり勃起したりしている姿が思い出されて恥ずかしかった
悔しくてたまらないと思って顔を眺めていたが そのうち下半身に目が行ってギョッとした
いつの間にか隆一の前も膨らんでいる
隆一は 何事も無かったように犠牲になったシャツを脱いで新しいシャツに着替え始めた
気恥ずかしいのと照れるのがごっちゃになっていたが
それよりも素直に嬉しいと思う気持ちの方が強くて 俺は隆一に後から抱きついた
そして そのままベッドまで隆一を引き摺って行って突き飛ばし その上に飛び乗って馬乗りになった
これには 流石の隆一もちょっと驚いたようで目を見開いた
でも 覆い被さってキスをねだると 優しく背中に手を回し体勢を入れ替えてやる気を見せてくれた
額にびっしりと脂汗をかいて固まっていた
「…」
返事どころか首ひとつも動かせない 少しでも身動きしたら隆一が入っている場所から
背中に向けて亀裂が入って体がバックリ裂けてしまいそうだった
隆一のものが頭だけ入ったまま もう前にも後にも進めない どうしよう
歯をくいしばって痛みに耐え 隆一の肩を掴んだ両手に思わず力が入って爪が食い込むと
同じように脂汗を掻いている 隆一の額と眉間に険しい皺が寄った
ずっと望んでいた事だったし 愛される場所には憧れてもいたので
隆一が指で解してくれている最中に はやく繋がりたくて我慢できず
俺は 自分から上に乗ると言って 隆一のものを掴んで勢い良く腰を落とした
しかし先端がめり込んだ途端 物凄い悲鳴を上げて飛びあがった
しかも 引っ掛かって抜けなかった
隆一のものなら 痛みだって受け入れられるって思ってたんだよ
俺は怪我はしなかったが 隆一の肩にはガッチリ爪痕が残って血が滲んでしまった
全身汗びっしょりで ぐったりと横たわっていると
隆一が 服を着て財布と車のキーを出してきたので 一瞬にして不安に駆られる
「何処行くんだよっ?!」
と慌てて怒鳴りながら後を追い シャツの裾を引っ張り出して握り締める
「タバコが切れたから買ってくる 5分か10分で戻るから寝てろ」
そう言って 俺が止めるのも振りきって出ていってしまった
静まり返った部屋の中に戻ると ベッドの下にタバコが落ちていた 中身は入っている
約束の時間はとうに過ぎている
「もう こんな時間だぞ 待ってるワケねーじゃんよ」
待ち合わせ場所のホテルには 車でもここから20分はかかる
「バカじゃねえの あいつ」
泣いて目を擦ったせいで 目の周りがヒリヒリするのに
また涙が出てきて皮膚に染みてピリピリと痛む
「今時 手紙かよ しかもこんな紙切れに印刷文字で…」
ポタポタと雫が落ちて 印字が滲んでゆく
腹が立って グシャグシャにしてから皺を伸ばして鼻をかんでやった
こんな 簡単にずっと思っていたとか書くなよ 何様だよ偉そうに…
全部 曝け出せばスッキリするかと思ったけど 無理だよ 諦めなんてつかないよ
こんなに頼んでるのに 行かないでくれよ
俺 本当に死んじゃいそうだよ
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